|
|
| 2 指導者の安全能力の育成
(1)指導者の危険予知 シミュレーショントレーニング 指導者養成のなかで,事故発生時の対応や救急処置など,いわゆる事故発生時のシミュレーショントレーニングについては比較的よくされているようです。しかし,個々の活動での事故発生の可能性をさぐるシミュレーショントレーニング,すなわち,指導者のための危険予知トレーニングはあまりなされていないのが実情です。実際に怪我をしたり事故に遭遇するのは,圧倒的に参加者です。その参加者と常に行動をともにしているのがグループを担当したり活動を担当している指導者ですから,彼らがいかに的確に危険を予知しそれをどう回避していくことができるかは,事業を安全に終わらせるための大きな要素となってきます。そのためにも,日頃から状況や活動場面に応じた危険予知のためのトレーニングをしておくことが,安全を生み出すための第一歩となるでしょう。 ![]() そのためのトレーニング方法のひとつとして,危険予知のためのシミュレーショントレーニングが考えられます。この方法はまず最初に,実際にスタッフの一人が担当する一日の活動の指導計画書を責任者(指導者養成の担当者など)に提出してもらいます。それをもとにして,全体を通してどのような危険が潜んでいるか,どこに危険な場所や危険物があるかを洗い出し,その活動を安全に実施するためには,子どもたち自身は何を注意すべきなのか,指導者としてはどのような対策をたてておくべきか,また,緊急時にはどのような対応をするべきかについて,責任者と活動の指導担当者が一緒になってシミュレーションしていきます。 前頁の計画書は,キャンプ開始2ヵ月前に実際にキャンプのスタッフから提出された,本人の指導計画案です。これは,自分の担当する一日の選択活動のための計画書です。活動の目的や携行品,準備するものなど,下見もすませてかなり考えた内容となっていますがまだまだ最終案とはなっていません。 次に,この提出された原案をもとに,指導者(スタッフ)本人と,キャンプディレクターやプログラムディレクターなど,いわゆる統括責任者との間でこの原案を煮つめていきます。このときになされる検討が指導者にとっての良い危険予知トレーニングとなっていきます。デイレクターの方からは,移動途中の危険箇所,実際の現場での危険箇所,監視の方法と体制,予測される天候の変化とそれへの対応,緊急時の連絡方法とその手段など,安全対策全般に関する質問がなされ,指導者(スタッフ)がそれに答えていきます。満足な回答が得られない場合は,再び活動案や下見の見直しが繰り返されます。こうして,キャンプが始まるまでに何度かやり取りをしていくと,より充分な安全対策が練られた活動計画案ができあがっていきます。また,指導者のほうにも変化が現われてきます。それは,一言でいえば,指導者から管理者への視点の移行ともいえるでしょう。すなわち,最初はどんな活動を参加者に提供するか,その活動をいかに楽しい内容とするかに主眼が置かれていますが,だんだんと楽しさを保持して,なおかつ安全に実施するためにはどんなことに注意していけばいいのかといった,より具体的な安全対策へと目が向いていくようになっていきます。こうなって初めて青少年を預かる一指導者としての自立に一歩近づいたといっていいでしょう。 ![]() このトレーニングは非常に有効であり,いわば指導者のための危険予知トレーニングともいえます。このトレーニングを何度も繰り返し行なっていくと,活動や技術の指導者としてばかりでなく,青少年の命を自分が預かっているという意識が自然と植え付けられていき,常に安全に配慮して指導にあたる姿勢や態度が身につくようになっていきます。 |
|
|
|
|